2002/11/01
9.スポーツ選手のための栄養プログラム(6)
〜たんぱく質、脂質、糖質の役割〜
たんぱく質の役割
たんぱく質は筋肉をつくるもとであるという考え方が強く、スポーツ選手には非常に重要視されています。たんぱく質は筋肉を始め、いろいろな代謝に関わる酵素、血色素などをつくるもとになるものですから、確かにその不足は避けなければなりません。
しかし、現実的にはたんぱく質が量的に不足することは少なく、むしろ動物性たんぱく質に依存しすぎることで、内臓に負担をかけている場合が多いのです。
たんぱく質はアミノ酸が鎖のようにつながっているような形をしています。食物から得たたんんぱく質は体内で分解され、一部は合成されて体の組織につくりかえられていますが、体内ではつくれないアミノ酸もあり、それは必須アミノ酸と呼ばれています。いろいろな食品を組み合わせ、アミノ酸の過不足を補いながら質の高いたんぱく質をとって、体内でたんぱく合成を行うことが理想です。
一方、過剰に摂取されたたんぱく質は利用されないまま排泄されることになり、その際、肝臓への負担が増大するとともに、たんぱく質の代謝産物である尿素の排泄のために体は大量の水分を必要とします。その尿素の排泄がうまく行われないと尿素が尿酸に変わり、高尿酸血症、すなわち通風になります。また、たんぱく質の大量摂取はカルシウム不足をも引き起こします。
こうしたことを十分にふまえた上で、適量で効率の良いたんぱく質の摂取が必要です。運動時にはたんぱくの合成と分解のバランスが崩れて分解が大きくなり、体の組織の破壊されます。そのため運動直後のたんぱく質の摂取が組織の西郷性のために必要となってきます。動物性、植物性のたんぱく質を効率よく組み合わせて、1日に体重1kgあたり2〜2.5gを目安にとることで、たんぱく質の過不足を防ぐことが大切です。
脂肪の役割
脂肪は身体に豊富に蓄積されている非常に効率のよいエネルギー源です。運動時には糖質から得るエネルギーには制約がありますが、脂肪は常にエネルギー源として利用され続けます。
強度の低い運動を長時間行う場合、脂肪がエネルギー生産の基礎物質となります。逆に強度の高い運動の場合は、主として糖質の利用が大きくなり、乳酸も蓄積されやすくなります。この乳酸は脂肪の燃焼を阻害する物質ですから、余分な脂肪を燃焼させて減量したい場合は、強度の低い有酸素運動を行います。こうした脂肪の効率よい燃焼にも、ビタミンB群を始め、やはり糖質の存在が欠かすことはできません。
私たちの日常の食事には脂肪がたくさん含まれています。脂肪自体は生命維持活動に深く関わっており、特に多価不飽和脂肪酸、エイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸は体内で合成されないため食品から摂取しなければなりません。また、脂肪はビタミンA,D,E,Kなどの脂溶性のビタミンの吸収の際にも必要です。
このように脂肪をうまく利用すれば、食事のバラエティを増やすことができ、糖質だけに頼るよりも食べる量を減らすことができるため、選手が楽にエネルギー補給をすることができます。つまり、脂肪は完全な悪者ではなく、その利用の仕方に工夫が必要なのです。
脂肪の多い食事をとりすぎると、糖質やたんぱく質の利用効率が低下しますが、この状態で強度の強い運動を行うとスタミナ切れ、筋組織の破壊、エネルギー代謝効率の低下をもたらします。競技種目によって多少の違いはありますが、スポーツ選手は脂っこい肉料理、揚げ物、いためもの中心の食事内容を改め、動物性脂肪と調理用の植物性脂肪を減らした食事を心がけるべきです。
脂質が極端に少ない場合の弊害
- エネルギー不足
- 脂溶性ビタミンの吸収効率の低下
- ホルモン・バランスの崩れ
脂質が極端に多い場合の弊害
- 体脂肪の蓄積
- 運動時のエネルギー吸収効率の低下
- 動脈効果等の疾病リスクの増大
糖質の役割
糖質は身体の中でエネルギー源として最もよく利用されます。食品から炭水化物の形でとり入れられ、小腸から吸収されたブドウ糖はエネルギー生産のために使われます。一部は肝臓や筋肉中にグリコーゲンとして蓄えられ、血液中のブドウ糖濃度は常に一定の範囲内に保たれるように複雑な調節機能が働いています。
食物から得る糖質が不足した場合は、脂肪やアミノ酸がエネルギー合成に使われます。反対に糖質をとり過ぎた場合は脂肪として身体に貯えられます。また、ブドウ糖は脳の大切なエネルギー源でもあります。
運動時には、その運動の強度によって糖質と脂肪が複雑に関わり合ってエネルギー源として使われます。特に運動の初期、運動負荷が大きい時には糖質が主に利用されるため、大量のエネルギーが必要な場合は糖質の貯蔵量が問題となります。
スポーツ選手のスタミナは肝臓と筋肉中に貯蔵されたグリコーゲンの量は直接関係しています。したがって、多量のグリコーゲンを身体に貯め込み、効率のよい代謝機能を持った人がスタミナのある人といえます。一般的には血液、肝臓、筋肉への糖質貯蔵量は450gですが、トレーニングを積んだ人はその量を750gにまで増加させることができます。
筋肉に貯えられたグリコーゲンは、その筋肉の運動能力を大きく左右します。筋中グリコーゲンが大量に使われ、十分に補充されない状態でトレーニングを続けると、運動能力は明らかに低下します。
激しいトレーニングを、集中して効率よく行うためには、高炭水化物食をベースとしたタイムリーなエネルギー補給が必要です。筋肉中のグリコーゲン貯蔵量を増やすためにも、トレーニングで筋肉中のグリコーゲンをいったん全部使いきり、それを十分に補給することを繰り返すことが必要です。
糖質はこのように運動のパフォーマンスのキーとなる物質で、それを効率よく使うためにはビタミンB群を中心とした様々な微量栄養素の助けが必要です。減量の際にも糖質の補給は大切で、特に脂肪を効率よく燃焼させ、エネルギーを生産するためには一定量の糖質は不可欠です。代謝障害を起こさないためには1日あたり100〜120gの糖質を含んだ食事をとる必要があります。
糖質が少ない時の弊害
- エネルギー不足
- 疲労感・倦怠感
- 体重の減少
- 集中力の欠如
- 運動能力の低下
糖質が多い時の弊害
- 脂肪の蓄積(砂糖などの単糖類のとり過ぎ)
- 栄養バランスの崩壊
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