2003/03/18
1.ここがおかしいインフルエンザ予防接種 (1)
〜ワクチンをめぐって〜
以下、医学ジャーナルより転載
昨年11月、街の診療所(医院)に「インフルエンザ予防接種を受けましょう」というポスターが貼られた。
その内容は、65歳以上の人は一部負担として2200円で、インフルエンザワクチン接種が受けられるというものだ。接種期間及び回数は、平成14年11月1日(金)から平成15年2月28日(金)で、この期間中1回接種とある。
年齢制限が65歳以上で、60歳以上65歳未満の人では、心臓、腎臓、呼吸器に障害のある人及びヒト免疫不全やウイルスにより免疫機能に障害をお持ちの人とある。
医師によって接種回数が
65歳以上の高齢者や60歳以上で慢性疾患を持っている人に対するインフルエンザ対策として、この接種は有効であり、なんら問題点はないのだが、いざ実際に接種を受けるとき、医師の見解に違いがあることが問題だ。
多くの医師は1回接種のみでは効果が不十分で、2回接種が一般的なので、2回受けてほしいという。1回分については、公的扶助があるので自己負担は2200円だが、2回目は4000円となる。
ところが1回で十分だという医師もいる。その根拠はどうなのか。
ある医師は、2回接種でなければ十分ではない。予算の関係で、2回とも公的扶助を実施することはできない。冗談に、これは小泉さんが悪いんだよ、と苦笑する。なんともおかしな対応である。
そこで医師会と市役所に電話で、この点について聞いてみた。
市役所の担当窓口の人は、1回で十分だということになっているという。厚生労働省の指導で実施していると言葉を付け加えた。
65歳以上の老人ホームでの人々の調査で、1回接種でも十分ということになっているという。
地区の医師会にも聞いてみた。1回接種で十分という国の指示だから、それに従っているという。
ただ、かかりつけ医師が、2回接種がいいというなら、よく相談の上、先生の指示に従った方がいいでしょうという返事だった。
予防接種の啓発資料を
市役所から予防接種の啓発資料を送ってもらって読んでみた。
それによると、「インフルエンザウイルスは、毎年変化しながら流行するため、毎年流行が予測されるウイルスに合った予防接種を受けておくことが効果的である。わが国のインフルエンザ予防接種は、近年の状況をみると、流行したウイルスを予防するのに効果的でありました。一般的には、65歳以上の方は1シーズン1回の予防接種で効果がありますが、インフルエンザウイルスの型に大きな変異がある場合には、2回接種することが必要です」とある。
どこかおかしい.納得できない、そこで、ワクチン製造メーカから詳しい資料を取り寄せてみた。
そこには、次のようなことが明訓されていた「用法・用量は、0.5mlを皮下に1回またはおよそ1〜4週間の間隔をおいて2回注射する。ただし、6歳から13歳未満の者には0.3ml、1歳から6歳未満の者には0.2ml、1歳未満の者には0.1mlずつ2回注射するとある。
さらに2回接種を行う場合、免疫効果を考慮すると、4週間おくことが望ましいとある」
この製造メーカの資料によると、1回接種の効果についてこう付記してある。
「1回法0.5mlで効果が出るかどうかについては、老人福祉施設・病院に入所(院)している65歳以上の高齢者を対象にした有効性の評価から、発病阻止効果は34〜55%、インフルエンザを契機とした死亡阻止効果は82%とわかり、ワクチンによる重症化を含め個入防衛に有効と判断した」とある。
このような医学的な説明は、予防接種啓発資料には明記されていない。
納得がいかないときは医師や看護師に質間して下さいと記してあっても、きちんとした医学的解答が得られないことは、大きな問題ではないだろうか。
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